脳とナショナリズムと戦争の意外な関係と言うけれどちっとも意外じゃない

日経ビジネスオンラインの2015年8月5日付記事「脳とナショナリズムと戦争の意外な関係」にこんな記述があった。

ある集団とある集団が利益を共有して協力する状態を「メタn人協力」と言います。残念ながら、これを実現するのは容易ではありません。協力を促す危機や敵を設定する必要があるからです。それも「将来の危機」のような漠としたものではダメ。「目の前の差し迫った危機」が生じない限り、なかなか実現しません。

日経ビジネスオンライン「脳とナショナリズムと戦争の意外な関係」より

さらに、こんな記述もあった。日経ビジネスオンラインの2015年8月5日付記事「脳とナショナリズムと戦争の意外な関係」

そうですよね。なので、人間は恋愛をするのです。恋愛というのは知性を麻痺させることです。知性を麻痺させ、合理的な判断力を低下させなければ、ヒトは、種を残すという個体の生存にとって不利益になる行為ができないのです。このことに思い至った時、私は愕然としました。

日経ビジネスオンライン「脳とナショナリズムと戦争の意外な関係」より

これを受けて、インタビューアーはそれぞれ

不仲な国と国がメタn人協力を実現するためには、それこそ宇宙人が攻めてくるような事態が発生する必要があるわけですね。

種を残すためには、知性が働かない方が適している。しかし、知性が働かないと、自分の常識とは異なる常識を理解できず、差別が生じてしまう。つまり、種を残すためには、こうした蔑視を許容するしかない。なんとも、脳の働きというのは皮肉なものですね。

日経ビジネスオンライン「脳とナショナリズムと戦争の意外な関係」より

とコメントしているが、これらは私が常々考えてきたことと一致しているし、正直言って「何を今更、当たり前の話をするのか」と思った。もしこれが多くの日本人にとって意外な話になるのなら、マスコミ人も含めて日本人というのは何と能天気な人たちなのだろう。

中華人民共和国と日本国が国交回復後の暫くは友好的だったのも、当時のソビエト連邦が共通の敵だったからであり、それが無くなった今では、バルタン星人でも攻めてこない限り日中友好の回復などあり得ない。むしろ、中華人民共和国が共通の敵役を引き受けてくれているから日本の軍事と外交が回っている面がある。

そして、教育が行き届いて誰もが賢くなってしまった日本では、もう少子化が止まることもないだろうし、恋愛そのものが不可能になっている「恋愛障害者」が減ることもないだろう。私は草食系男子どころか、絶食系男子が増えるのも、無理もないこととして捉えている。