過剰なかな書きは止めた方が

小学生の頃に読んだ手塚治虫の漫画にベートーヴェンが作曲しているシーンが出ていて、「運命はかく戸をたたく」とベートーヴェンが言ったとされる(実はシントラーが紹介した発言なので疑わしいらしいが)台詞が付いていた。お恥ずかしい話だが、絵の中のベートーヴェンがペンを持っていたために、これを「運命は書く」だと誤解してしまった。ベートーヴェンにとって曲を書くことは運命が書かせているものであり、彼は自動筆記のような状態で作曲しているのか、と妙な解釈をしてしまった。当時小学校低学年生だったにしてもお粗末である。

ネームを貼り付けたであろう人が「運命は斯く戸を叩く」としてくれていればこのような誤解をしなくて済んだのに、と今でも口惜しい。判らない漢字があれば辞書を引くから漢字はいくら使ってもらっても良かったのに。これも漢字制限の弊害の一例である。子供向けの文章だからといって漢字含有率の低い文章を読ませると、思いもかけない誤解をすることがあるのだが>出版社、新聞社、小学校の関係者各位。