日本と韓国は地政学的条件が違うのだから……

日経ビジネスオンラインの2014年2月14日付記事「安倍の次の悪役は金正恩」に次のような一節がある。

まさに、ここで地政学的な要因が効いてきます。大陸国家と比べ、海洋国家は選択肢が多いと考えられがちです。でも、現実はそれほど単純ではありません。

どこをどう見ても海洋国家でしかない日本は、自らの防衛をシーパワーに頼るしかない。自ら単独で中国と立ち向かうオプションをとらないのであれば、どうしたって米国と組まざるを得ないのです。世界のなかで、自国を大きく離れて海軍力を展開できるのは米国しかありませんから。

米国にわがままが言える韓国

これに対し韓国は冷戦期には「国際政治的な島国」と言われた存在でした。中国やソ連との間に北朝鮮という障壁があって、大陸との往来が遮断されていたからです。しかし一般的には半島国家の特殊性から、大陸勢力と海洋勢力の間を行き来できる。「行き来」は不安定要因にもなりますが、両勢力に対する交渉材料としても使える。

もちろん、韓国のエリートはそのことをよく知っている。だからこそ、米国に対し“わがまま”とも思えることを言ったりもする。米国は自分を手放せない以上、何を言っても聞いてくれるはずだ――との判断です。

ただ、この戦略には大きなリスクがあります。韓国が「中国に寄るフリ」を続けると、米国もこの地域を地政学的に見直して「韓国を手放しても、防衛線を下げれば問題はないな」と考える可能性があるのです。

日経ビジネスオンライン「安倍の次の悪役は金正恩」より

地政学的な条件がこれだけ違うのだから、歴史的なものや感情的なものを抜きにしても、日韓の相互理解など、はなから無理な相談なのかもしれない。

日本は現状では世界第二位の海軍力を持つ海洋国家であるが、それでも広大な領海とシーレーンを単独で防衛するには海軍力が大きく不足しているのは間違いない。とすれば、軍事同盟の相手は世界第一位の海軍力を持つアメリカ合衆国以外にあり得ない。木村教授に指摘されるまでも無く、日本にはそれしかない。逆に言うと、米国陣営に属すると言う意思を旗幟鮮明に示すことの不利益は全くない。その意味で、日本には韓国のような二股外交はあり得ない。

しかし、韓国には韓国なりの理由があって二股外交をしているわけだし、そのために反日が利用されているわけだから、日本がどんなに不快に思おうと、第三国がどんなに呆れようと韓国の二股外交とその手段としての反日が無くなるわけがない。潜在的仮想敵国として留意しておき、突き放した目で見るしかないのではなかろうか。

あとは、米国が防衛ラインを下げるという事態に対応すべく、なるべく目立たないようにかつ着実に軍事力を強化するしかないと思う。安倍内閣には、靖国参拝で保守としての精神性をアピールする前に、NATO諸国並みの防衛費を確保し、集団的自衛権と軍事同盟の構築に努め、自衛隊の弾薬と人員の補充に努めて欲しい。保守思想的には臆病者の戦略であったとしても、大和魂ではなく、負けないための戦略を示し続けて欲しい。