健康診断の結果の帰属

日本では、労働安全衛生法第66条によって事業者には健康診断の実施、労働者には健康診断の受診が義務付けられている。もちろん、この結果を理由とした解雇は出来ないことになっているが、実際には「糖尿病でインスリン治療が必要な状態なので夜勤に不適である。」と産業医がコメントしたら、翌日にはもうその人はその会社からいなくなっていた、というような経験をした産業医は珍しくない。

本来労働者には自分の健康に対し自己責任を負うことを条件に、自己に不利な健康情報を事業者に知られない権利があってしかるべきで、実際ILOの行動準則では労働者の健康情報は企業の担当者にも秘匿されるべきとしている。日本国としてはILOの行動準則を批准するつもりは全くないようであるが、健康診断の結果は受診者本人に帰属すべきものと思う。実際には産業医が管理して適正配置に必要な情報だけを企業側に開示することになるのだろう。もっとも、定期健康診断で飯を食っている者がこういうことを言うのも矛盾した話だが。