集団的自衛権だけでは足りない。多国間軍事同盟を。

2014年12月3日付のWEDGE Infinityの記事「新ガイドラインは日米同盟の真のグローバル化につながるか?」の末尾に岡崎研究所による当を得た解説がある。曰く、

今回の集団的自衛権の限定行使容認の閣議決定は、憲法解釈の基本は変えず、特別な事態への「当てはめ」を述べたものに過ぎません。内閣法制局が従来の憲法解釈の基本を守り切ったのであり、根本的な変化ではありません。集団的自衛権の限定行使容認について、賛成派は過大評価する傾向にあり、拒絶派に至っては大騒ぎし過ぎです。もちろん、日本を守っている米艦が攻撃された際に、傍にいる自衛艦が守れないなどという非常識なことがなくなりましたので、歓迎すべきことには違いありません。しかし、集団的自衛権の限定行使容認の3要件には、日本の存立が明白に脅かされる危険がある場合ということが含まれていますので、新ガイドラインが日米同盟の真のグローバル化につながる可能性は低いと言ってよいでしょう。

WEDGE Infinity「新ガイドラインは日米同盟の真のグローバル化につながるか?」 より

まさにその通りである。集団的自衛権自体はどのように使うこともできるものであり、専守防衛を継続するかしないかとは直接関係のない概念である。これ自体は他国に踏み出して戦争する権利ではなく、そうするかどうかは別途決めるべきである。憲法改正に一歩近づいたというような性質のものではない。

さらに、以下のように述べている。

そもそも、自衛権というのは国際法上の観念です。しかし、日本は憲法9条を理由に、自衛権について、依然として、国際的常識から外れた解釈をしています。それを政策面で端的に示しているのが専守防衛です。今後の課題としては、この自衛権解釈を国際基準に即したものにすること、本当の集団的自衛権を行使できる国になり、攻守同盟を結べる国にすることを目指すべきでしょう。今の日本は、特殊な歴史的背景で成立した日米同盟以外には攻守同盟を結ぶことができず、その結果、あたかも「非同盟主義」をとっている国のようになってしまっています。

WEDGE Infinity「新ガイドラインは日米同盟の真のグローバル化につながるか?」 より

全く賛成である。多国間軍事同盟に参加することで、費用と人命の両面においてコストを下げることができるし、日本の将来の進路に対し確実性を与えることができる。軍事同盟には敵陣営に対処する機能と、味方陣営における暴走(裏切り)抑止の機能があり、どちらも有効な機能だ。

結論としては、集団的自衛権が行使できることは必要だが、それだけでは足りない。日本を一刻も早く多国間軍事同盟に参加できる国にすべきである。それこそが戦争の抑止になるはずである。