3.11以後、基本単位のスケール感覚、そして桁数の感覚が欠如している人たちが多い

2011年3月11日の大震災からすでに3年以上が経過したが、マスコミやネットで見かける物言いに何だかなあ、と脱力したり呆れたりすることが多くなったような気がする。その中で今でも覚えている物言いとそれに対する感想を書き連ねてみる。

  • その1
    • 物言い:今でも福島第一原発からは毎時1000万ベクレルも放射性物質が垂れ流されている! まるでコントロールされていないじゃないか!
    • 感想:10メガベクレルと言ったらバセドウ病にかかった人に投与するアイソトープが一人分で数百メガベクレルだから、それよりも少ないのか。ずいぶんコントロールが良くなったじゃないか。たった1000万ベクレルなんて出来過ぎなくらいで逆に信じられない。2000人の群衆が1時間デモした方がよっぽど放射線出すだろうし。具体的には1200~1300万ベクレルくらい。
  • その2
    • 物言い:福島原発から放出された放射性物質をA国の機関が試算したら、政府発表の2倍もあった! やっぱり政府はうそつきだ!
    • 感想:外国がやっても2倍の違いしかないのか。こういうシミュレーションで桁数が合ってれば上出来だろ。一桁くらい、下手すりゃ二桁位違って出てくるのかと思ってた。

こんな調子で、桁数や基本単位の大きさという感覚が余りにも欠如している人が多いこと、そしてそれに付け込んだアジテーションに一定の効果があるのに驚いた。オーダーとファクター、基本単位のスケール感といった感覚が物理屋さんやエンジニアの専有物になっているあたりに、今までの教育の危うさを感じる。

高校レベルで文系と理系に教育コースを分けてきた弊害がここにも出ていると思う。リベラル・アーツ的なものは絶対に必要だ。