尖閣防衛のカギは台湾にあるというのはその通りだが……

尖閣防衛のカギは台湾にあるという日経ビジネスオンラインの記事を読んだ。確かに言っていることはその通りだが、正直言ってもう遅いのでは、という気がした。

筆者に指摘されるまでもなく、尖閣諸島の領有権問題で台湾が中華人民共和国と同一歩調をとってしまうと、「台湾を含めた一つの中国」に加担することになる。親中的な馬政権といえども、そこまではしたくないだろう。したがって、日本としては台湾と中国の間に対立があるうちに、漁業権問題を台湾に有利な形で解決するなど、日本が台湾の肩を持つという姿勢を見せるしかない。これはまさに時間との勝負だが、台湾の大陸依存が進んだ今となってはもはや手遅れのように見える。台湾がそれを望んでいないにもかかわらず、中華人民共和国に屈服させられ、尖閣諸島の領有権問題で台湾が中華人民共和国と完全に共同歩調を取るようになり、その結果として台湾の未来は中華人民共和国の台湾省であることを天下に示す日はそう遠くないことのような気がする。

そのような悲観的な未来が待っていたとしても、日本としては台湾との漁業権問題の解決に全力を挙げるべきなのは間違いないが、うまく行けば僥倖であり、過大な期待は出来ないと思う。最悪中華人民共和国側からいつ戦争を仕掛けられても大丈夫なように、敵に対して局所戦で3倍、総力戦で1.7倍の戦力を保持し続ける必要がある。時代はもはや中華人民共和国との軍拡競争が避けられないステージに入っていることを自覚しないと駄目だろう。さもないと、2050年の日本は、佐藤元空将が言うように、西日本は中華人民共和国の東海省、東日本は日本自治区となり果て、チベットやウイグルと同じような悲劇の舞台となってしまうかもしれない。これは現時点ではネット上のデマかもしれないが、人民解放軍がこのような願望を持っていないとは言い切れまい。

今の中華人民共和国は1930年代後半の日本と悪い意味で似ており、1940年ごろの日本のような形で人民解放軍が暴走しないと言い切れないのが恐い。このような時代認識があるため、人民解放軍の暴走を2002年ごろからずっと恐れてきたのであるが、こうした恐るべき未来から逃れる方法は果たしてあるのだろうか。また、それはまだ間に合うのだろうか。