バスの運行に思う

普段利用する川崎市バスの路線は、上りの目的地が全部同一(溝口駅南口)である。バスの場合、列車と違ってダイヤ通りの運行が難しく、先行するバスとの間隔が空いてしまったため混雑してしまったバスは乗降に時間がかかるためさらに混雑し、先行するバスとの間隔が短いために空いてしまったバスは乗降に時間がかからないので結局先行するバスに追いついてしまいがちである。しかも、待避所が無いので時間調整もままならず、結果としてひどい時にはバスが4〜5台も団子状態でやってくる。そして8〜10分くらいバスが来なくなり次のバスは殺人的混雑→満員通過、停留所には40人も並んで……となりかねない。

こんなのは全国何処でも見かける光景であるが、少し前までは実に巧妙な方法でこの問題を解決していた。続行するバスが先行するバスに追いつくと、先行するバスは次の停留所を通過し、直後に続行するバスに客を拾わせるのである。そして、先行するバスと続行するバスの時間間隔がある程度空いたところで、先行するバスは次の停留所で客を拾う。バスの行き先は全部同じだし、停留所に止まる数も減らせてスピードアップも図れる。ダイヤグラムを書いてみれば、停車パターンをずらすことで高密度運転と表定速度のアップを両立させることができるのが分かると思う。

ところが、最近は先行するバスに客が乗れる状態であれば、杓子定規に停車して限界まで客を乗せるようになった。確かに、先行するバスに通過された乗客にとっては、理由も無く後ろのバスに回されたのは業腹であろうから、苦情が出たであろうことは容易に想像できる。しかし、そのために乗降に時間が非常にかかるようになり、7〜10分で走行できた区間は10〜12分かかるようになっている。その上、続行するバスが先行するバスに追いつくケースが増えてしまい、バスによる時間間隔と混雑度のばらつきが酷くなってしまった。

これなどは、お役所的で表面的な苦情対応に汲々として、折角の現場の知恵を封じてしまった事例では無いだろうか。表面的な苦情を出さないことに汲々としたりするのでなく、多少の苦情が出ても全体としての最大幸福が得られるのなら、そのほうが良いと思うのだが。