有事と日本人の心性

「かくすればかくなるものと知りながら止むに止まれぬ大和魂」という吉田松陰の有名な歌がある。私が和歌の中で唯一つ嫌悪を感じる歌である。超法規的処置と言う言葉がある。これも大嫌いな言葉である。しかし、日本人の心性の深いところにこうした不条理を許すものがあるのは間違いない。

しかし、有事の際にこのような心性が顔を出しては不味いのである。予め決めておく必要のあること、特に有事の際の私権と国権の関係についてはきっちり決めておいて欲しいものである。その辺やはりスイスと言う国は抜かりがない。民主主義を貫きながらも、有事の際の私権の制限についてきっちり国民に広報、教育している。また、有事であっても守り抜かねばならない民主主義的価値を示す事も忘れていない。その合理性に貫かれた行動様式は見事である。もし第三次世界大戦が勃発しても、この国だけは生き残るだろうと思わせるものがある。

果たして私を含めた日本人は、有事の際に合理的な行動で生き延びることが出来るのだろうか。