韓国発のサイバーテロに抗議

2001年4月1日の産経新聞によりますと、2001年3月31日、次の6箇所のウェブサイト(下記参照)が韓国発のサイバー攻撃の標的になり、アクセスが異常に重くなったり、一時アクセス不能に追い込まれたりしたとのことです。

  • 文部科学省(http://www.mext.go.jp/)
  • 産経新聞(http://www.sankei.co.jp/)
  • 自民党(http://www.jimin.or.jp/)
  • 作る会(http://www.tsukurukai.com/)
  • 扶桑社(http://www.fusosha.co.jp/)
  • 北海道議会(http://www.gikai.pref.hokkaido.jp/)

いずれも、日本の教科書の「歴史歪曲」に対しての抗議とのことですが、日本は国定教科書制度の国ではなく、教科書検定を通過する範囲であれば、著者、出版者、採択者、教師のすべてに大幅な自由が認められている国です。出版の自由も保障されていますし、逆の主張を持った教科書も多数採択され、使われております。また、教科書検定についても、担当の省庁に大幅な裁量権があり、総理大臣といえども内容には干渉できないようになっております。

また、もし問題の教科書が検定を通過したとしても、それを採択するかどうかは採択権者の自由であります。また、学校レベルでもその教科書を使うかどうかはまったく自由です。教科書をまったく使わない授業も可能であり、筆者の卒業した高校でもそうしてきました。このように、一部のものが懸念するような、ある教科書が検定合格したからと言って、即教育が一色に染め上げられるようなことは日本では不可能であります。それでも、韓国や中国では、この教科書の合格=日本の右傾化、という見方が非常に力を持っているのは止むを得ないことかと思われます。抗議が必要だ、このまま放っておくと危険だ、と考えるのも当然かもしれません。

しかし、そうであったとしても、今回のように、多くの人間が指定のウェブにアクセスし、アクセス負荷を上げて、サーバを止めるという行動は容認できません。本質的にはDoSアタックと同質の行為であり、サイバーテロに他なりません。具体的な手段としては、多くの人間が一度に標的のウェブサイトにアクセスし、リロードをかけてサーバーを重くしてダウンに追い込もう、というものだったようです。方法は非常に初歩的ではありますが、政治的な意図を持った大衆行動の形をとっている分だけ、少数のクラッカーが共謀してウェブサイトを書き換えるような行為より危険であるともいえます。何人が参加したのか今ひとつ分かりませんが、首謀者は150万人の参加を呼びかけていたようですから、相当数(1万人以上?)の一般市民が参加したのでしょう。このような手段でのサイバーアタックが成立すると言うこと自体、一般人のうちの無視できない人数が「目的さえ正しければサイバーテロの形を取った示威行動はOK」と考えている、あるいは「サイバー戦争に参戦しても良い」と考えている、ということになり、これは大変恐ろしいことです。

今回のような行動では、標的のサーバー以外にも経路のあちこちで渋滞が発生し、発信側と着信側の両方で混乱が生じます。無関係なものをも巻き込むテロ行為になるのです。それに気がつかないような人ならネットワークを利用する資格はありませんし、分かっていてやったのなら立派な犯罪者です。それだけのサイバーテロリスト予備軍のいる国で、誰がまともなビジネスを立ち上げようと思うでしょうか。今回の行動で、韓国はサイバー世界では好戦的な国だ、北朝鮮とどこが違うのか、とみなされるようになるでしょう。いくつかのサイトではすでに211で始まるIPアドレスを受け付けないようになっているそうです。もしこれが単なる噂に止まらないのであれば、フレッツISDNなどで使われる神奈川の地域IP網も211始まりなので、私もアクセス制限の被害者になります。

サイバー世界でもっとも行ってはいけないことに手を出してしまった、今回の行動をすごく残念に思うとともに、示威行動の手段としてかかる手段が永久に使われることがないよう、当サイトとしても今回の韓国発のサイバーテロに強く抗議いたします。それとともに、サイバーテロに備えた防護策の整備を政府や有名サイトには強く要請いたします。異常なアクセスを早期に感知し、当該ドメインや当該サブネットからのアクセスを遮断するくらいの対策は当然でしょう。また、我々一般市民も、ウェブサーバーのアクセス制限、パケットフィルタリングなどについて、最低限の実用レベルのスキルを持ち、自衛できるところは自衛すべきと考えます。

ところで、今回の事件を受けて、攻撃を受けたサイト以外の他のサイトでも、krドメインからのアクセスを排除する処置をとったところも多数あるようです。今後当サイトでも、今回の事態に抗議してトップページの背景を黒くしたり、krドメインに対するアクセス拒否を考慮しております。DoSアタックを一般市民を巻き込む形で組織化して行った韓国という国と、それが実行された2000年3月31日と言う日付を筆者は一生忘れることはないでしょう。