楓葉音楽帳

楓葉作曲講座(第4回)

転調について

はじめに

このページでは講座の第4回として、転調について解説します。

転調前にとりあえずⅠの和音で落ち着かせる

転調をする前にⅠの和音に進行しておくと、多少強引な転調であっても何とかなります。Ⅰの和音はどのような和音にも進むことが出来る性質を利用したものです。図1はその一例です。譜例では、ハ長調→ト長調→ヘ長調→ハ長調の順に転調しています。

Ⅰの和音に引き続く転調の例

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図1 Ⅰの和音に引き続く転調の例

この例ではⅠの和音の前はⅤの和音ですが、Ⅰの和音の前にⅤ7の和音を鳴らしておくと終止感が強くなって一段落した感じがするので、さらに転調しやすくなります。このようにⅤ7→Ⅰを繰り返すのは頻繁に転調する時の定石と言えます。

前の調の和音進行を次の調の進行に読み替える

前の調の和音進行が次の調の別の和音進行と解釈できれば、そこから澄まして次の調の進行を開始してしまえば、とりもなおさず転調したことになります。図1の例でも、ハ長調のⅤ→Ⅰはト長調のⅠ→Ⅳとも解釈でき、へ長調のⅤ→Ⅰはハ長調のⅠ→Ⅳとも解釈できます。続くⅠ→Ⅳには円滑に移行できます。ただし、これを逆にみれば、ト長調のⅠ→Ⅳはハ長調のⅤ→Ⅰとも解釈されかねず、ハ長調のⅠ→Ⅳはへ長調のⅤ→Ⅰとも解釈されかねません。図1の譜例で転調した感じがいまひとつ弱いのはそのような理由によるものでしょう。

譜例でも示したように、ヘ長調からハ長調、ハ長調からト長調はこのように転調したことにすぐには気が付かないくらい自然に転調できますが、主要三和音のうち二つを共有することがこのような転調を容易にしています。このような二つの調を近親調といいます。譜例の一回目の転調と三回目の転調のように、転調後の調から見て転調後の調の主音(主和音)が転調前の調の属音(属和音)である場合、属調に転調したことになります。

このような転調は、属調への転調だけでなく、下属調や平行調への転調でも容易に行うことが出来ます。図2は曲の途中でハ長調から平行調のイ短調に転調してそのまま曲を終えてしまった例です。

平行調への転調例

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図2 平行調への転調例

ハ長調のⅥ→Ⅱの進行が平行調であるイ短調からみればⅠ→Ⅳとも解釈できるため、そのままイ短調のⅡ→Ⅴ7→Ⅰと進行して曲を終えてしまうことが出来ました。長調の曲を短調に転調したまま終えるのも何か寂しいものがありますが。

この他にも転調の方法はいろいろあります。減七和音(4つの音が短三度で積み重なった和音。例えばソ#・シ・レ・ファ。)のような調性感に乏しい和音を鳴らして転調のきっかけにしたり、前の調のⅠの和音で一旦落ち着いた直後に次の調のⅤの和音(場合によってはⅡ→Ⅴの和音)を鳴らして転調のきっかけにする、などの方法があります。

最後に、宿題を出して終わりにします。図3はハ長調でバスと和音進行だけを記した譜面ですが、この譜面にフルートの主旋律とピアノの右手の伴奏を付け加えて曲の形にしてください。

課題1(ハ長調、八分音符を使う)
図3 課題1(ハ長調、八分音符を使う)

また、図4はト長調で同じようにバスと和音進行だけを記した譜面ですが、この譜面に同じようにフルートの主旋律とピアノの右手の伴奏を付け加えて曲の形にしてください。

課題2(ト長調、二分音符を使う)
図4 課題2(ト長調、二分音符を使う)

なお、ハ長調の方の曲は八分音符を出来るだけ使い、ト長調の方の曲は二分音符を出来るだけ使ってみてください。

次回は最終回ですが、課題で作った8小節の短い曲を並べて一つのまとまった曲に仕立てることにします。