楓葉音楽帳

楓葉作曲講座(第1回)

主要3和音の連結とそこから作る旋律

はじめに

40過ぎて楽典から学習しなおした筆者でも、2年もすれば曲らしきものが作れるようになりました。作曲もどきという行為は作曲もどきである限り、そんなに難しいものではありません。あなたも自分の曲を書いてみませんか?本講座は、作曲はしてみたいけど何だか難しそうでという方のために、初歩から少しずつ進んでいくための手がかりとなるための講座を目指します。

また、音階と調、音程についての最低限の楽典的な知識はお持ちの上で、しかしながら音楽理論には詳しいというわけでない、日曜作曲家もどきになれれば十分、と言う方を想定いたします。したがって、ここでの目標はとりあえず自分の曲らしきものを作り上げること、ということになります。

そのような目的ですので、連続5・8度、限定進行違反といった和声学的な禁止事項はほとんど考慮しないことにします。まずは音符を並べてみましょう。妙に聴こえるのなら直せばいいですし、それでいいのならそのままにして置けば良し、とします。楽理的な厳密さはこの際あまり気にしないことにします。

このページでは講座の第1回として、主要3和音の連結とそこから作る旋律を解説します。

まずは主要な3つの和音をつないでみよう

どんな調でも、音階の第1音の上に3度上(二つ上)の音(すなわち音階の第3音)と5度上(四つ上)の音(すなわち音階の第5音)を重ねた3つの音からなる和音(三和音)をⅠの和音と言います。これを主和音と呼ぶことはご存知のことでしょう。ハ長調の場合はド・ミ・ソということになります。

同様に、音階の第4音の上に音階の第6音と音階の第1音(オクターブ上)の音を重ねた三和音をⅣの和音、音階の第5音の上に音階の第7音と音階の第2音(オクターブ上)の音を重ねた三和音をⅤの和音と言います。ハ長調の場合はそれぞれファ・ラ・ド、ソ・シ・レということになります。

譜面に書くと、図1のようになります。

Ⅰ・Ⅳ・Ⅴの和音(基本形)

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図1 Ⅰ・Ⅳ・Ⅴの和音(基本形)

Ⅰ、Ⅳ、Ⅴの3種類の和音のことを主要3和音と言いますが、この3つだけでも一応曲が作れるというくらいに良く使われ、なおかつ重要な役割を果たします。この3つの和音だけで音階上の音は全て出揃います。この3つの和音を使うだけで、ドレミファソラシド全てが揃うのです。

さて、図1を見ますと、ずいぶん音の高さが違いますね。このままでは和音を連続して演奏すると、音が上に行ったり下に行ったりめまぐるしくて、伴奏の時には困ってしまいそうです。そこで、余り音の上下動が目立たないように音の配置を入れ替えたものが図2です。Ⅳの和音がド・ファ・ラ、Ⅴの和音がシ・レ・ソとなっています。小学校ではこの形で教わったかも知れません。

Ⅰ・Ⅳ・Ⅴの和音(転回形)

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図2 Ⅰ・Ⅳ・Ⅴの和音(転回形)

しかし、何となく落ち着きが悪い感じです。特に、Ⅴの和音のように、和音の一番上の音が一番下に来るように並べ替える(これを第二転回形といいます)と、不安定感が際立ちます。

そこで、図3のようにその和音の一番下の音(根音、ルートといいます)をバス(ヘ音記号のところ)に付け足して見ます。

Ⅰ・Ⅳ・Ⅴの和音(バスに根音)

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図3 Ⅰ・Ⅳ・Ⅴの和音(バスに根音)

どっしりとして安定感が出てきました。西洋音楽では低音(バス)が重要だというのが分かる気がします。以後、和音の並びを検討する際には、バスに和音の一番下の音を配置し、上の方の音は上下動が余りないように適当に配置した形で考えることにします。

ところで、主要3和音の役割分担をいささか単純化した形でまとめますと、Ⅰの和音は主和音というだけあって、起と結の役割を果たし曲を落ち着ける効果があります。Ⅳの和音は承の役割、Ⅴの和音は転の役割を果たしやすい性質があります。Ⅴの和音はいささか不安定な感じを持ち、次にⅠに行って安定したがる性質があります。一曲を起承転結になぞらえた場合、主要3和音だけを使ったとして、Ⅰ(起)Ⅳ(承)Ⅴ(転)Ⅰ(結)という流れはそれなりに自然に聴こえます。

このように和音と和音をつないでいくことを和音の連結、和音を連結してⅠに始まりⅠに終わる一連の流れを和音の進行と言います。Ⅰ、Ⅳ、Ⅴの主要3和音にも連結しやすい順番と連結しにくい順番があります。

Ⅰの和音
Ⅳ、Ⅴの何れにも自然につながる。
Ⅳの和音
Ⅴの和音には自然につながり、続きがある感じをもたらす(半終止)。
Ⅰの和音にも自然につながるが、一段落した感じがしてしまう(変終止)。
Ⅴの和音
Ⅰの和音には自然につながり、安定した終わりとなる(全終止)。
Ⅳの和音にはちょっと行きにくい。短調なら行けないこともない。

図4は連結しやすい流れで主要3和音をつないでいった譜例です。Ⅰ-Ⅳ-Ⅰ-Ⅴ-Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰと和音が連結されていますが、これは一種の定石ともいえる流れです。

Ⅰ・Ⅳ・Ⅴの和音による和音進行の例

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図4 Ⅰ・Ⅳ・Ⅴの和音による和音進行の例

いかがでしょうか。おそらく、ありがちで陳腐な印象を受けたのではないでしょうか。しかし、練習の段階ではそのありがちな感じというのが大切なのだと思います。

和音進行からメロディーへ

図4では和音と和音をつなぎましたが、上の方(ト音記号の方)の和音は分散和音でも良いはずです。さらに、和音に含まれる音(和声内音、以後単に内音とする)であれば、音の順番も自由にして構わないでしょう。このような発想の元に、バスは和音の根音を一小節鳴らし続け、上の方は和音の音から選んで四分音符を置いていくと、図5のような感じになります。なお、説明の都合でここから先は3拍子にします。

和声内音だけで作った旋律

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図5 和声内音だけで作った旋律

この譜面は、低音(バス)と旋律(メロディー)というおなじみの形になっています。和音を基に作ったメロディーですから、分散和音そのものですが、何となく曲らしくなってきました。

しかし、何となくごつごつした感じがします。次の音が三度以上離れた音で飛び飛びになっている(これを跳躍進行と言います)箇所が多いため、滑らかさが足りません。もう少し何とかならないものでしょうか。また、和音の中の音だけを使うと、分散和音そのものになってしまい、今ひとつ旋律と言う感じに欠けるものがあります。

和音に含まれない音を適度に使うと、そのような違和感が少なくなります。和音進行の途中で、その和音に含まれない音を和声外音(以後単に外音とする)と言いますが、外音の使い方にはある程度の定石があります。

和声外音の使い方(1)

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図6 和声外音の使い方(1)

図6は三度離れた二つの内音を補間するような外音を挿入した例です。譜例で▲マークが付けてあるのが外音です。こうすると二度ずつ音が動くようになりますので、音の動きが滑らかになります。こういう二度ずつ音が動く進行を順次進行と言います。

二つの内音が同じ高さの音ならば、間に短二度~長二度上下する外音を挟んで変化をつけることが出来ます。

和声外音の使い方(2)

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図7 和声外音の使い方(2)

図7はその譜例で、▲マークは二度高い外音、△マークは二度低い外音を用いた例です。シャープやフラットをつけて半音変化にすることもありますが、半音変化と全音変化のどちらにするかは好きな方にしてください。

また、図8の譜例のように、二つの内音の間に、跳ねて二度戻る形の外音を挿入することも出来ます。跳ねて戻るのがポイントです。

和声外音の使い方(3)

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図8 和声外音の使い方(3)

ここまでいろいろな例を見てきました。何となく旋律らしい感じが出て来たような気がしませんか? 次回はⅡ、Ⅵの和音についてと和声外音の使用例の続きを予定しています。