人間ドックについて

コンピュータの欠点

「How to 健康管理」2000年12月号より

本文

Aさんは過去3年間のBMI(体格指数)が30→27→25、コレステロール値が300→280→240、糖負荷試験の2時間値が200→170→140と変化していました。一方のBさんはBMIが22→25→28、コレステロール値は180→190→240、糖負荷試験の2時間値が110→120→140と変化していました。

Aさんのデータが改善傾向で、Bさんのデータが悪化傾向なのは明らかですし、体重の変化がこの連いを生んだらしいこともわかります。

ところが、せっかく努力して減量し、少しでもデータがよくなったAさんに返ってきた結果通知(コンピュータで作成)のコメントは、AさんもBさんも同じ「耐糖能不全を認めます。○○にご注意ください」でした。AさんもBさんも現在の状態は同じだから、という考え方です。

経験豊富な産業医、保催婦が結果を説明すれば、当然Aさんの努力をほめ、前向きに評価し激励するといった対応が可能です。しかし、コンピュータで作る場合、往々にして警鐘を鳴らすことに熱心で、現在の検査数値のみを強調しがちです。人工知能を使う試みもありますが、まだまだ人間のように洞察力を働かせた臨機応変な対応は難しいようです。

努力しても認められないとなれば、Aさんがまた元の生活習慣に戻ってしまい、数値が再び悪化してしまう可能性もあります。その意味でも、対象者の背景を理解し、結果表の見方を正しく伝えられる保健職の役割は大きいと考えます。

(以上、「How to 健康管理」平成12年12月号初出、原文のまま)