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人間ドックについて


[検査について] 糖尿病の新しい診断基準

1999年5月、糖尿病の診断基準を改訂

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日本糖尿病学会が1999年5月、糖尿病の診断基準を改訂いたしました。糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告が日本糖尿病学会の公式サイトにありますので、詳細な内容はそちらを参照してください。

下に、日本糖尿病学会の資料より糖尿病と診断するための手順として示された表を引用いたします。(元資料はhttp://www.jds.or.jp/shindankijyun/tables/table4_j.htmlにあります。)

  1. 空腹時血糖値≧126mg/dl,75gOGTT2時間値≧200mg/dl,随時血糖値≧200mg/dlのいずれか(静脈血漿値)が,別の日に行った検査で2回以上確認できれば糖尿病と診断してよい.これらの基準値を超えても,1回の検査だけの場合には糖尿病型と呼ぶ.
  2. 糖尿病型を示し,かつ次のいずれかの条件がみたされた場合は,1回だけの検査でも糖尿病と診断できる.
    1. 糖尿病の典型的症状(口渇,多飲,多尿,体重減少)の存在
    2. HbA1c≧6.5%**
    3. 確実な糖尿病網膜症の存在
  3. 過去において上記の1.ないし2.がみたされたことがあり,それが病歴などで確認できれば,糖尿病と診断するか、その疑いを持って対応する.
  4. 以上の条件によって,糖尿病の判定が困難な場合には,患者を追跡し,時期をおいて再検査する.
  5. 糖尿病の診断に当たっては,糖尿病の有無のみならず,分類(成因,代謝異常の程度),合併症などについても把握するように努める.
疫学調査:
糖尿病の頻度推定を目的とする場合は,1回の検査だけによる「糖尿病型」の判定を「糖尿病」と読み替えてもよい.なるべく75gOGTT2時間値≧200mg/dlの基準を用いる.
検診:
糖尿病を見逃さないことが重要である.スクリーニングには血糖値の指標のみならず,家族歴,肥満などの臨床情報も参考にする.

*ストレスのない状態での高血糖の確認が必要である.

ここでのポイントは、次のような点だと思われます。

  • 糖尿病の典型的症状、糖尿病性網膜症、グリコヘモグロビンが6.5%以上のいずれかがない限り、2回以上の検査で確認されなければならない。
  • グリコヘモグロビン6.5%という数値が糖尿病の典型的症状、糖尿病性網膜症と並ぶ価値のある数値として認められた。
  • ブドウ糖負荷試験がなお重視されている。
  • 糖尿病型とみなす空腹時血糖値が従来の140mg/dlから126mg/dlになった。(この面では厳しくなった。)

また、糖尿病型、正常型の血糖曲線とみなす75gブドウ糖負荷試験の基準は、下のようになっています。(元資料はhttp://www.jds.or.jp/shindankijyun/tables/table3_j.htmlにあります。)

-正常域糖尿病域
空腹時値<110(6.1)≧126(7.0)
75gOGTT
2時間値
<140(7.8)≧200(11.1)
75gOGTTの判定両者をみたすものを正常型とする.いずれかをみたすものを糖尿病型とする.
-正常型にも糖尿病型にも属さないものを境界型とする.

随時血糖値≧200mg/dl(≧11.1mmol/l)の場合も糖尿病型とみなす.正常型であっても,1時間値が180mg/dl (10.0mmol/l)以上の場合は,180mg/dl未満のものに比べて糖尿病に悪化する危険が高いので,境界型に準じた取り扱い(経過観察など)が必要である.

ここでのポイントは、次のような点だと思われます。

  • 正常域の判定から血糖1時間値が消えたので、甘くなった部分はあるが、180mg/dl以上では要注意と明記されている.
  • 血糖2時間値の正常域は140mg/dl未満とされ、この面ではやや甘くなった。
  • 糖尿病型とみなす空腹時血糖値が従来の140mg/dlから126mg/dlになった。(この面では厳しくなった。)

このように専門学会での診断基準が変わってきたのは、空腹時血糖が126mg/dlくらいが持続すると、糖尿病性網膜症に移行する頻度が上がり出すなど、空腹時血糖140mg/dlの基準では甘いと思われることがあります。また、実際に空腹時血糖が126mg/dl位の人は、平均すると血糖2時間値 200mg/dl位を示すというデータもあり、このようになったようです。

これに伴い、人間ドックでも血糖の判定基準を変更する施設が出てくると思いますが、判定の変化にびっくりしないようにしてください。また、1回のブドウ糖負荷試験で糖尿病型を示したことだけで即糖尿病とするものではないこと、また、糖尿病があるかどうかというだけでは駄目で、どうしてそうなったか、代謝異常の程度、合併症などについても把握しなければならないこと、そして特に境界型の血糖曲線の場合、インスリンの分泌動態の如何で動脈硬化などの危険率が大きく変わるなど、血糖負荷試験で血糖と尿糖を測っただけでは評価としては完全でないことにも注意が必要です。蛇足ですが、「境界型糖尿病」という概念はありませんので注意してください。


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08/29/1999初出



平成9年9月15日開設
平成17年4月16日移設
乗本 薫
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